【小説】Useless 2
リビングの窓を開け、淀んだ空気を部屋から追い出す。ソファーに腰を下ろし、俺を殴りたいと思ってそうな奴のリストアップを始めた。
金を借りている奴……今はいない。別れた女?……もう三年前の話、それも俺が振られた方だ。ましてや会社関係ではない。トラブルになるほど真面目に仕事をしちゃいない。
コーヒーを淹れて、テレビを点けた。何年か前に流行ったドラマの再放送。顔はよく見るが名前を知らない女優達。
マンションで何かトラブル起こしたか? 自分で気付かないうちに誰かを怒らせた? 無い話じゃないが、夜中に殴られるほどのことをしたとは思えなかった。
何かの手違いさ。さっきの男のフレーズを真似て、頭の中の白紙のリストを閉じた。もうシャワーを浴びて寝るべきだった。いつか退屈な飲み会のときのネタくらいにはなるだろう。