Touji

小説と日記

【小説】 Useless 5

しょぼくれた男の姿は、俺が小学生の頃、姉が拾ってきた仔犬を思い出させた。父は直ぐに捨ててくるように姉に言ったが、彼女は一歩も引かなかった。このまま捨てたら死んでしまうことを分かってて言ってるんだったら、お父さんのこと一生許さない、と言い放…

【小説】Useless 4

シャツのボタンが弾け跳び、軽く無機質な音を立てながら転がっていった。 「あんたもグルなんだろ」 男が力を入れると、俺の躰がわずかにフロアから浮き上がった。何か言おうにも声が出せない。やがて男もそれに気が付き、少し力を緩めた。 「……一体、何の話…

【小説】Useless 3

数日後の夜、あの日と同じような時間にマンションに着いた。車を降りると、柱の陰からあの男が現れた。この間と同じ格好だった。 「勘弁してくれよ。こないだのやり直しか?」 男は首を振った。 「そうじゃない。教えて欲しいことがあるだけだ」 「何だって…

【日記】ソーシャルレンディング 2

ソーシャルレンディングのリスクは2階建てです。ソーシャルレンディングの融資案件のリスクと、運営会社自体のリスクです。最初にソーシャルレンディングに接したとき、リスクが2階建ての割に年利が5〜10%程度では見合わないなと私も思いました。しかし、色…

【日記】 ソーシャルレンディング 1

去年からソーシャルレンディングに興味を持ち、学習中です。一言でソーシャルレンディングといっても、不動産会社の資金調達部門的なものから、本気のマイクロファイナンス寄りのものまで様々です。今後、ソーシャルレンディングがどのような方向に拡がって…

【小説】Useless 2

リビングの窓を開け、淀んだ空気を部屋から追い出す。ソファーに腰を下ろし、俺を殴りたいと思ってそうな奴のリストアップを始めた。 金を借りている奴……今はいない。別れた女?……もう三年前の話、それも俺が振られた方だ。ましてや会社関係ではない。トラブ…

【小説】Useless 1

コンクリートの上を転がり、車のバンパーに背中を打ち付けた。一瞬、息が詰まる。だが、俺を後ろから突き飛ばした男が、ゆっくりと近づいて来るのは視野に入っていた。 俺のマンションの地下駐車場。時間はちょうど日付が変わる頃。 脚で俺の頭を弾ける距離…